アンドレス・シルバ・ヴィニョーリーHatsune Wings: An Open Nest 会期中

2026.9.10 – 10.12 ハツネウィング D-2


「Hatsune Wings: An Open Nest」は、Andrés Silva Vignoliが横浜でのレジデンス期間中、生活と制作の場としてきた初音町の小さな家を舞台に開催されます。本展では、この家そのものが展示空間であると同時に作品の主題となり、仮の住まい、スタジオ、アーカイブ、そして「巣」として一般に開かれます。

黄金町バザールのテーマ「At the Crossroads(交差点で)」に呼応し、本プロジェクトでは「巣」を、到着と出発のあいだにある場所として捉えます。巣は住むためにつくられますが、いつかはそこを離れることを前提とした場所でもあります。その意味で「巣」は、レジデンスという経験、そして移動によって形づくられる生のあり方を象徴するものとなります。それは、いつか失われることを意識しながら、一時的にその場所を自分の居場所にしようとする試みでもあります。

展示は、家の建築構造に沿って展開していきます。通りに面した部屋には、横浜滞在中に制作された作品を含む完成した絵画が展示されます。家の奥へ進むにつれて、展示と日常生活との境界は次第に曖昧になっていきます。写真作品、スケッチ、習作、書籍、制作のための資料、制作途中の作品などを通して、完成した絵画を取り巻く制作のプロセスやイメージが浮かび上がります。スタジオや生活空間そのものも展示の一部となり、よりプライベートな領域へと広がっていきます。

本プロジェクトには、鳥が繰り返し登場します。それは作品のモチーフであると同時に、移動、観察、帰属、そして居場所を離れることについて考えるための存在でもあります。「Hatsune Wings」というタイトルは、この家の名前と、日本語の「初音」——季節の最初の鳥の声を意味する言葉——にも重ねられています。翼は移動と旅立ちを、巣はそこに留まることと愛着を示します。本展は、その二つのあいだに存在しています。

レジデンスでの経験を、すでに完結したひとつの物語として再構成するのではなく、「Notes from a Nest」は、今なお続いている生活と制作の痕跡を提示します。絵画と写真、実験と参照資料、ものとイメージ、そして人前に現れる作品と、それらが生まれたプライベートな空間。それらがひとつの場所に共存します。

巣とは、ひとつの交差点です。そこは留まるためにつくられた場所であり、同時に、いつか旅立つためにつくられた場所でもあります。

日程|9月10日(木)〜10月12日(月・祝)
時間|11:00〜19:00 ※木曜休場(9/10をのぞく)
場所| ハツネウィング D-2

アーティスト

1987年パナマシティ生まれ。アンドレス・シルバ・ヴィニョーリは、フィレンツェ大学で建築を学んだ後、2025年にロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)で絵画の修士課程を修了しました。現在はベルリンとロンドンを拠点に、主に絵画とドローイングを中心に制作しています。

生物多様性、移動、クィアネス、アイデンティティ、帰属をはじめ、依存、排除、喜び、欲望といったテーマを探求しています。制作の中心にあるのは、「場所の精神」を意味する「ゲニウス・ロキ(genius loci)」という考え方と、環境の中に歴史や記憶、さまざまな連想がどのように蓄積されていくのかという問いです。

鳥や動物、植物のかたち、日常的なものが作品の中に繰り返し登場し、個人的な経験と、それぞれの場所が持つ文化的・社会的・自然的な特徴とを結びつけています。

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