自主企画
2024/5/10(金)〜6/2(日)
Ariane Mercier-Beau / Elena Aframova「Wake up to a new space」

私たちは、肉体的にも感情的にも、さまざま空間(スペース)の中で人生を送るが、大半の時間を—そのうちのおよそ3割は眠った状態で—四方を壁に囲まれた空間で過ごす。ウクライナに生まれイスラエルで育ったレーナは、日本に暮らして20年以上になる。彼女はアーティストとして、写真や文章を通し、自身の内側と外の世界との境界を不確かなものとして表現する。あのパンデミックの時、創作に行き詰まったレーナは、東京のデザイナーズホテルを訪れることで活力を取り戻した。そして再び心が動き出した経験を一連のセルフ・ポートレイトとして記録した。
ドイツに生まれ、スペイン語を母語とするイラン系フランス人アーティストのアリアネ。彼女は、眠りと覚醒の間を行き来している時の、素直で正直な感覚を、日々、生地に刺繍を施しながら探している。アリアネは普遍的なコミュニケーションツールとして英語が用いられることや、複雑な世界で本来の自分を表現することの難しさについて問いかける。
数多くの文化を経験してきたレーナとアリアネは、ディアスポラの複雑性、文化的断絶、そして帰属への憧れを見る者に教えてくれる。二人は自身のごく私的な物語を見る者と共有することで、見る者と作品との距離を近づけ、より深いつながりと理解を育む。

日程|2024年5月10日(金)~6月2日(日)の間の金、土、日
時間|14:00〜18:00
入場料|無料
会場|THE ROOM(〒231-0054 神奈川県横浜市中区黄金町2-8-8)

エレナ・アフラモヴァ
ウクライナで生まれ育ったエレナ・アフラモヴァは、日本に長く住むイスラエルのアーティストであり、キュレーターです。2000年にハイファ大学で教育カウンセリングの修士号を取得し、NYフィルムアカデミーを経て2010年に、TOEI京都スタジオで映画制作プログラムを修了しました。
アフラモヴァの写真作品は、NYタイムズ、BBCニュース、ニューズウィークなどで紹介されています。代表的なプロジェクトに、カンボジア農村地域の学校建設を支援したWAfC(World Assistance for Cambodia)/JRfC(Japan Relief for Cambodia)の写真シリーズなどがあります。
アイデンティティと記憶に情熱を注ぐアフラモヴァは、2019年から2020年に亀岡でOmoyaプロジェクトを立ち上げました。2021年4月には、彼女のアート・アクティビスト・プロジェクト「恐れないで」(…do not be afraid)は、NHKワールドで報道されました。
また、アート教育にも積極的に関わっており、日本の国際的写真家のためのプログラムを主導するFRAMEWAYの設立者の一人として、講演やワークショップを行っています。
キュレーターとしては、2022年に東京外国語大学で開催された「Home.Smoke.Home」などの展覧会を企画し、ロシアのウクライナ侵攻の背景にある「家」の概念を探求しました。最近では、自身のスタジオTHE ROOMでウクライナのアーティスト、ナディア・オレフィールの作品「人々の庭」(Garden of people)や、イラン/フランス/ドイツのアーティスト、アリアン・メルシエ=ボーとの二人展「新しい空間への目覚め」(Wake up to a new space)をキュレーションしました。
彼女のキュレーションの中心は、文化的アイデンティティの構築、コミュニティの相互作用、人間の経験をめぐる対話を促進し、多様な視点が交差する空間を創造することにあります。

アリアネ・メルシエ・ボー
アリアネ・メルシエ・ボーは、1995年ドイツ生まれのフランス人アーティストで、2021年にグルノーブルの芸術デザイン学校で学位を取得した。主な媒体はテキスタイル。デジタルネイティブである彼女は、オンラインカルチャーと自己イメージを関連させながら、女性らしさの複雑なニュアンスを掘り下げていく。彼女の表現活動における中心的なテーマは親密さの象徴性であり、すべてのビジュアルアートワークの中で繰り返されている。現在、黄金町にて1年間のアーティスト・レジデンスに参加中。

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