黄金町芸術学校×黄金町バザール2012

リノベーションレポート

Koganecho Art School × Koganecho Bazaar2012 Renovation Report

 受講生が実践的に学べる場を提供する「黄金町芸術学校」。開催中の黄金町バザール2012展示会場のひとつである「1の1スタジオ」の一角は、黄金町芸術学校の講座のひとつ「アートスペースはどのようにつくられるか?」 の受講生によって、企画・改修されました。 ここに記録されるのは、理論を学んだ5日間を経て、建物と実際に対峙してリノベーションを行なった7日間のレポートです。

7日間をかけてリノベーションされたアートスペースは、黄金町バザール2012の会期中、実際に展示会場として使われ、みなさんにご覧頂けます。ぜひ、足を運んでみてください。

場所:1の1スタジオ「一緒にデザイン会議」展示場所(横浜市中区黄金町1-1)
マップはこちら[PDF:1.05M]
黄金町芸術学校「アートスペースはどのようにつくられるか?」
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DAY 1

2012年9月10日(月)現場作業1日目 レポーター/sara

◎工事内容について
工事現場の見学に入る前に、工事内容の説明を受けました。みなさんが前半の授業で考えたリノベーション案がどうミックスされて最終案となるのか、非常に興味があるところでしたが、リノベーション後の空間の特徴は以下の通りです。
・出入口はセットバックされている。
・空間は、3種類の性質をもつ。
 新しい空間(1F)、既存のものを生かした空間(2F)、
 既存のままの空間(1Fから2Fへの階段、トイレ)
予算上の制約や、隣の建物がリノベーション対象物件になる可能性を考慮した上での最終案とのことでした。
工事内容は、9/12迄は、工務店の方が、1F、2Fの撤去作業、1F壁のボード貼付け作業等を行い、9/13以降に、塗装等の作業を行うことになっており、受講生が手を動かして行える作業は、
・1Fの壁にボードを貼った後の塗装作業
・2Fの畳や室内壁が撤去された後に根太を回して合板仕上により床をフラットにする作業
とのことでした。
◎現場では
工務店の方が作業される期間であるため、作業の邪魔にならないように、見学させていただく形でしたが、見学時にちょうど入り口正面の「竹ちゃん」の扉が取り壊されたため、外観からイメージされる元々の雰囲気が、一気になくなったのを感じました。
室内は、撤去予定の室内壁(2F)、キッチン(1F)、小上がり(1F)等が、ほぼ撤去されており、1Fの壁へのボード取り付け作業が行われていました。なお、1Fから入って右側の壁は、一部壁から出ているコンクリートの段差があるため、その部分を隠して壁を建てるための骨組みが作られており、そこに壁を作るようになっていました。私たちは、壁へボードを貼付ける際にネジを取り付ける作業を体験することができました。
◎感想
解体が進んだ空間は、初めてこの建物に入ったときの印象と比べ、随分と明るくなり、空気の流れも変化していました。特に2Fについては、室内壁が撤去されることで、一つ一つ独立していた空間が一体になり、日が当たることにより(晴れた日は特に)、ピンク色の壁紙から受ける印象が違いました。実際に、展示空間として使われる際には、この壁の扱いは作家さんにお任せするとのことですが、どのように使われるのか楽しみです。

DAY 2

2012年9月11日(火)現場作業2日目 レポーター/佐脇

13日からは、アーティストの増田拓史さんと一緒に、下記①②の作業を行ないます。
①1Fの壁・天井の塗装作業
②2Fの畳を剥がした後の床張り作業
この日は、自分たちが行なう作業の中で必要な材料の一部を準備しました。
刷毛やローラー1つの道具をとっても様々なサイズがあり、初めて手に取るものもありました。「一体どうやって使うんだろう?」と考えつつ、用途に合わせて必要な材料を選ぶのも、リノベーションを行なう上で重要なポイントだと感じました。

1F塗装材用・用具
エコフラット60/ヤニ止めシーラー/下げ缶/マスキングテープ/マスカー/養生テープ/ウエス/刷毛(入り隅用)/中毛ローラー(7インチ)/中毛ローラーハンドル/ハンドル用長柄(1M)/7インチバケット/7インチ交換用内バケット/7インチバケット用ネット

2F床材
ロング・ベニヤ(1820×910×12mm)/ラーチ・ベニヤ(1820×910×12mm)/垂木(30×40×4000mm)/コースレッド55mm(細ジク)/コースレッド38mm(細ジク)/木工用ボンド

DAY 3

2012年9月12日(水)現場作業3日目 レポーター/受講生:友

とても暑い午後、新堀先生と受講生2名、スタッフで現場見学をしました。
先生の説明によると2階の床は斜めになっているとのことで、アートスペースの壁をつくるには床が水平であることが大切で あるとお話しされていました。
先生のお話しに引き込まれつつ、1階はともかく、床が抜け落ちそうな2階がどんな風に変わるのか楽しみになりました。
ただ現場をみているとわからないことだらけですが、先生のお話しを聞くと立体的にどんな風になるのか自分なりにイメージが湧きました。

DAY 4

2012年9月13日(木)現場作業4日目 レポーター/インターン:田崎

9月13日から受講生の方を含めての現場作業が始まりました。1Fの作業はメッシュ貼り→パテ塗り→パテ削りの順で作業を行いました。
グラスファイバー製のメッシュテープを、プラスターボードの継ぎ目に貼っていきます。これは、パテ乾燥後のひび割れを防ぐためです。
メッシュテープを貼り終えたら、一回目のパテ塗りです。メッシュテープを貼ったボードの継ぎ目やビス止めした部分に塗っていきます。パテが乾燥することを踏まえて、平ではなく少し膨らませて塗っていきます。
パテが乾燥したら、紙やすりで削って均していきます。削る部分の外側にいくほど薄く削ることで、より滑らかな壁面ができます。
パテを塗って削るだけでも、結構な時間を費やしました。この作業を丁寧に仕上げることで、展示壁の質が大きく変わってきます。
2Fの作業は垂木張り→下地材張りの順で作業を行いました。
今回は、垂木は330mmピッチで張っていきます。ギャラリーとして利用されるようなので、不特定多数の人が2Fにあがってきても、床が抜けないような強度をもたせるためです。
垂木が張り終わったら、その上から下地材を張っていきます。以上で9月13日の作業は終わりです。

DAY 5

2012年9月14日(金)現場作業5日目 レポーター/受講生:あさこ

既に開口部には、2枚扉のサッシが取りつけられています。隣の建物(居酒屋レイ)は外観が変わっていないので、その差が余計に際立って見えました。1階壁は石膏ボードのつなぎ目にジョイントテープが貼られ、パテは1回塗りの所とまだ塗ってない所があります。2階は2枚の床材が仮止めの状態になっています。
増田さんから作業の内容の説明がありました。
パテ塗り作業 パテは2~3回塗り(1回目 → 乾く・痩せる → 増し打ち2回目 → 乾く・痩せる → 増し打ち3回目 → やすり掛け)
・パテは平らに塗る(山に塗ると2回目以降が塗りづらくなる)
・塗った後は半日から1日乾かす(乾ききらない内に重ねて塗るとパテが余計に縮む)
実際塗ってみると、「山にならないように、尚且つふんわりと平らに塗る」のは難しかったです。チェックしたつもりでも、塗り残しが出てしまいます(塗り残しが出ると次の作業に入れなくなり、作業の段取りが狂ってしまう)。
マスキングの貼り方→剥がし易いようになるべく続けて貼る。
ペンキ塗り作業→天井と壁の境目にはローラーを使用する前に、先に刷毛でペンキを塗る(入れ隅)入れ隅の後はローラーを使用する(ローラーの幅半分だけ重ねて塗る)ペンキは2度塗り(1回目の入れ隅と塗り → 2回目の入れ隅と塗り)狭い「竹ちゃん」なのに、上を向いての作業は思った以上に疲れました。
・1階天井はシーラーを塗ってからペンキを塗る(建築時の木部も同様)
・2階の床は303ピッチで垂木を敷く(垂木の間隔は上の床材によって変わってくる) 「竹ちゃん」は12ミリの合板2枚重ね(展示室は土足で歩くのでより丈夫にする為)部屋の外周には10ミリの隙間を作る(建物や建材の歪みを吸収・補正する為)14日の段階では、床の釘は仮止めの状態でした。
・パテとペンキの購入
歩いて行ける距離に専門店があるのは非常に便利だと思いました。材木の専門店もあるし、都会の真ん中なのに意外な感じがしました。

DAY 6

2012年9月15日(土)現場作業6日目 レポーター/受講生:前田

パテ塗りが終わったらいよいよペンキ塗りです。こういうパテ塗りしてみたいという夢見るイメージはあったものの、凹みの穴にうまく入らない!とかつけすぎ!ぐずぐずしてると乾燥して塗りにくくなる!と思うようにいかずパテの感触を確かめている間に終わりました(笑)
←パテ塗りの理想イメージ(とある建築現場の美しい下地処理)
工事も本職の職人さんがやるとこんなアートスペースに!
パテには水分があり乾燥すると減るので、前日塗ったところを重ねづけして仕上げていきます。乾燥したらヤスリがけ。するとここに段差があったとは思えないほどつるつるすべすべになりしばらく触って いたくなります。こうして展示空間に最適なホワイトキューブを作るためのポイント「平滑さ」が仕上がりました。

DAY 7

2012年9月16日(日)現場作業7日目 レポーター/受講生:前田

講師の増田さんがペンキ塗りのコツをレクチャー。
長い棒を使って一気に塗り上げることによって、ペンキの乾きや無駄な重ね合わせなく均一に仕上がります。ここでも初めて持つ長い尺のローラーに慣れず、重さにフラフラしていたり、どのくらいの力でローラーを押し当てるときれいにペンキが付くか確かめながらの作業が続きました。白い空間の完成!!
2階では既存の壁を活用するため古い壁紙を剥がしました。年月が経った壁紙も元は水性のりで貼った紙。水を吹き付けてやると面白いように剥がれていきます。
剥がした壁面はヤスリで平滑にした後、 塗装して仕上げます。奥の壁は今回は手をつけず面影を残すことになりました。

リノベーション完成!


(※写真は改修の一部です)
7日間かけてリノベーションされたアートスペースは、黄金町バザール2012の会期中実際に展示会場として使用され、みなさんにご覧頂けます。
マップはこちら[PDF:1.05M]

講師からのコメント

「ささやかなアートスペースの完成」
最後に完成したアートスペースはとても小さなものです。しかし、世界各地の展示スペースを紹介しながら行った前半の講義が、見事に反映された魅力的なスペースが実現しました。巨大な美術館でも、ささやかなアートスペースでも、アートのための場所をつくり出すことに変わりはありません。ホワイトキューブをつくることと既存建物の魅力を活かすことのバランスを計る。それが、リノベーションによるアートスペースをつくる上では重要なポイントです。講座とは言え、まちの持つ歴史、使用者の要望、予算の問題など、現実的な条件も与えられ、非常に実践的なトレーニングとなりました。5日間の講義と7日間の現場体験。たった12日間のプログラムで、デザインから施工までを成し遂げた頼もしい受講生たちが、これからの新しいスペースを生み出す人となることを期待しています。
佐藤慎也
「まちを住みこなすためのリノベーション」
もとのスナック「竹ちゃん」が、かつての黄金町の中に一つ浮かぶ島だったとすれば、あたらしい「1の1スタジオ」はまちをすくい取る入江のような空間になったと思います。まちの中で場所をつくるリノベーションは、そのまま「まちを使いこなす」技術になります。自分で自分の住まう空間を変えていく。背景となる黄金町全体の計画は、一気に街を塗り替えるのではなく、そこに一つ一つ苗を植えて育てていき、森をつくるようなプロジェクトです。ひとつの小さなリノベーションですが、そこからつながっていく大きな森を連想させるプロジェクトでした。
新堀 学
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